おとなになっていくわたし達の、ほんのひと時の、だけど永遠の─あの時。
大学でデザインの勉強をしている優実(木竜麻生)には、演劇サークルに所属する直哉(藤原季節)という恋人がいるが、ある日、自分が妊娠していることに気付く。悩みながらも優実は直哉に妊娠と、ある事実を告白する。直哉は将来自分の劇団を持ちたいと願っていた。現実を受け入れようとすればするほどふたりの想いや考えはすれ違っていく…。まるで隣の男女の生活を覗き見しているような不思議な映画体験で私達をスクリーンに釘付けにし、その切迫感と「圧倒的にリアリティのある日常」を突きつける本作。同じ時を過ごして、お互いを求めたあの時、そして今、お互いが分からなくなって…
過去と現在が行き来し、感情のグラデーションが胸に迫る、これまでに見たことのない恋愛映画が誕生した。


「"生活"や"暮らし"がそこにある」
「表と裏だけじゃなくて、もっといくつも面があるんだと思う」
加藤監督が言っていた言葉を心に書き留めて、相手と役と自分と向き合ってみた。
ある時、たくさんの人に守られているような初めての感覚の中で、見たことのない顔をした自分がいた気がしました。
あのアパートや道端、そしてそこのカフェ。あらゆるところにこの映画の中の人達がいるんじゃないか....そんな気がしています。