チャチャは、“人目を気にせず、好きなように生きる”をモットーに自由気ままな日々を送る。ある時、屋上で偶然出逢った樂に興味を持ち、「お互いに好きなものは正反対だけど、2人いたら丁度いい」とチャチャは次第に惹かれていくが・・・。
片思いの甘酸っぱさと誰にも言えないキケンな欲望が、独自の美しさによって共存する、ビザールラブストーリーが誕生。監督・脚本を務めるのは、「美しい彼」シリーズで多くのファンの心を掴み、映画『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』、『恋を知らない僕たちは』でピュアなラブストーリーに挑戦するなど、今最も注目を集めるクリエイター・酒井麻衣。色彩溢れる美術やロケ地、カラフルな衣裳とヘアメイク、シーンによってガラッと変わる画面の色味、光を捉えた映像など、こだわり抜かれた独自の世界観が存分に発揮されている。純愛や成長といった綺麗事では片づけられない、秘められた好奇心によって紡がれるチャチャの物語は、ファンタジーのようで、コメディでもあり、サイコホラーの様相も垣間見える。まるでおもちゃ箱をひっくり返したような唯一無二のジャンルレスな一作となった。
主人公・チャチャを演じるのは、俳優として幅広いフィールドで 唯一無二の存在感を発揮している伊藤万理華。本作の主題歌「おはようの唄」の歌唱も含めて、観客をチャチャワールドへと惹き込む。チャチャが思いを寄せる相手・樂を中川大志が演じ、ミステリアスな役どころで新境地を開拓する。チャチャの同僚・凛に藤間爽子、キーマンとなる謎の男・護を塩野瑛久、そのほか、ステファニー・アリアン、落合モトキ、藤井隆ら個性豊かな面々が脇を固める。
酒井さんが過去作り出してきた美しい映像表現に、私自身は一見遠く感じていたのですが、チャチャという人物で繋がることができました。
“チャチャ”には聞き馴染みがずっとあって、このお話が来た時、なにが引き合っているんだろう…?と大変驚いた記憶があります。 酒井さんの頭の中にこんな世界があったなんて…そんな世界に寄り添うには?と硬い頭で悩んだ時、柔らかくなるまでずっと傍にいてくださいました。 気づかぬ内に自分の奥底に棲みついていたチャチャを引っ張り出してもらったような感覚です。 終わる頃には彼女に会いたくなる、そんな作品になりました。
愛くるしく切ない絵本のようなチャチャの世界をぜひ覗きに来てください。